Freepaper 9. No.1に寄せて

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これまで自分の想いをうまく言葉で表現する事が出来なかったのが
ロウソクを灯す旅を始めてから
少しずつ言葉を授かり繋げられるようになってきた

日常の生活の中で毎日ではないが、時折人の感情に触れる、感じる時がある
それは良い意味でもとても疲れる,というかとにかく体力を使う
アートや音楽などでもそういった瞬間を感じる時があり、身体の奥の方なのか
くさい言い方かもしれないが、魂に響くものだったりする
その瞬間は一瞬にして自分の身体を形成しているすべての細胞を奮わせ
全く新しい科学反応を起こし、全身にある種の快感なのかまた疲労感なのかを与える
このような体感もいくつかの種類があると思うが
絶望や悲しみの、その先から一筋の光を感じる瞬間は
たまらなく人間の中に眠る無限の可能性を感じさせる
平和の火を灯し「悲しみの場所」を巡る旅を始める様になり
悲しみと共に生活している人達と触れ合う時、度々同じ様な感覚をおぼえた

2005年とその翌年、8/15の終戦記念日に合わせて中国へ行った
北の都市チチハルには過去日本軍が製造した化学兵器や爆弾などが大量放棄されていて
未だにそれによって苦しんでいる人と、多くの反日感情を持った人達がいた
この事実を知った時から8/15はチチハルでロウソクを灯す事にした
運命的に出会ったキリスト教の教会で、許しを得て多くの中国人と共に祈りを捧げた

ロウソクを灯し、皆が集まり、静寂の祈りの後に賛美歌が始まる
その瞬間全身に振動が走り体や意識すべてが暖かい光に包まれ
自分の想いが天に向かっていくのを感じた
その全てが幻覚なのかも知れないが
その後何人か泣きながら握手を求める中国人がそこにはいた

2年目のこの日は日本の首相が靖国神社に参拝した為に事情が変わった
滞在中、多くの中国人に聞かれる
“なぜ、みんな嫌がっているのに、そこまでして参拝するのか?”
その質問に対して自分は皆が納得出来る答えを言う事が出来なかった
どうか、誰か教えてほしい

どうしてそこまでして、靖国神社に行かなければならないのか?
出来る事ならば、靖国神社ではなく、広島や長崎や沖縄でこの日を過ごして欲しい
そこにはまだ戦争が終わっていない方達が多くいる
本当に“戦争が終わる”というのは争っていた者同士が仲直りをする事
出来る事ならば、中国や韓国などにある戦争資料館で過ごして欲しい
戦争後の教育や認識がいかにずれているかがわかるはずだ

戦争が終わった日、8/15に平和を願い、亡くなった方達に祈りを捧げるのであれば
全ての敵対していた国の人々と共にこの日を迎え
多くの犠牲のおかげで今現在の平和がある、それを感謝すべきなのではないか

長崎や広島の原爆資料館でも日本が受けた被害は多く展示してあったが
なぜこんな事になったのかという原因や、日本のしていた事が展示されていない
ほとんどの国は、自国がした事を認めるよりされた事を言い続ける
いまさら軍事力を強化して、隣国と緊張状態を作り世界の仲間入りだと言うより
世界でも例のない、全ての戦争についての歴史や資料を揃えた戦争博物館を作り
さらに憲法も改正し、より強固な平和憲法として一切の武力を放棄し
そして国連本部を日本につくる
そんな未来を創造したい

平和の民、日本人として誇れるように

日本人に沢山家族を殺されたチチハルの人達は、8/15 に自分を温かく受け入れてくれた
実際に被害にあったお父さんも別れ際にそっと“ありがとう”と言ってくれた
そんな人達と靖国神社参拝のニュースを見るのはとても辛いものだった

これからも多くの友人達にチチハルでの出来事を伝え、そしてまた今年もチチハルへ行く
8/15という1日は中国では抗日戦争勝利の日といい、日本では終戦記念日という

自分はこの日、中国の友人達と共に“平和の祈り”その光を灯していたいと思う

JUNE