津波によってすべてを流された場所
お墓はことごとく崩れお寺もかろうじて屋根が残る
それでも
そこに集まる人々
そこで暮らす人々とロウソクを灯した
震災当時
亡くなった方々のために灯してほしいと言われたが
断った
さまよえる魂たちが想うことは残された家族の生活
住む場所も食べるものもない家族を残し、いったいどうやって安心して天国にいけるだろう
自分の仕事はロウソクを灯すこと
自分自身と会話する
そこにいる人と会話する
亡くなった人と会話する
震災からいままで、ただひたすらに食べ物、飲み物を運ぶ
いつか自分の仕事をするために
このお寺に来た時
あらためて
自分の仕事をしたいと思った
生活のあかりがなくなったこの場所に
かつて生活をしていた人とともにあかりをともそう
亡くなってしまった方々の魂の数を
それ以上にいたこの町の人々の数だけ
そして
この地震によって出逢えた
あらたな光の数を灯そう
立ち止まらない
立ち止まらない
もうはじまってるよ
みんな
見ないふりはもうできないよ