EXHIBITION CLASKA

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悲しみでどうしようもなく

身体の奥の方から

すべてが崩れていく感じが在る

言いようのない深い、海のように広い

広がりを見せるむなしさもそれと同時にやってくる

やってくるのは突然で

綺麗な夕陽を眺めているときや仲間達と共に過ごしている時

徹夜明けの朝日のなか

渋滞のない高速を緩やかに音楽と共に走っている時

それは悲しい事と直面した時にではなく

綺麗だなあと感じたり

幸せだなあと感じている時に突然やってくる

この感覚は小さい時からあったものだが

最近特に感じている

今年も広島や長崎、中国やN.Yを灯してまわった

中国では日本軍が埋めてきた化学兵器によって被害を受けた方にも会ってきた

そして終戦記念日には去年より沢山の中国人と平和の祈りを共にした

現実的な悲しみと向き合っている沢山の中国人と平和の祈りを共にした

その必然の出逢いに喜びを感じ、全てのものが繋がっていることを理解し

完全な瞬間の一部となる

いくつかの出逢いの中で今年はより多く感じることが出来た

昔はショックなことが起きても、何かに裏切られても、

まあこんな事も腐りつつある世の中ではあり得るなと

現実はこんなもんだと、大半の事は諦める様にしていた

でもそれだけでは自分も腐った世の中の現実の一部にすぎないということに

気がついてからは

少しずつでもいいから何とかしたかった

身の回りには色んなことがありすぎたから

ひとつだけに集中し、言葉で多く語る事もなく灯してまわった

9.11の事件で新しい戦争の形が出来上がり

その先の旅からは“戦争を、テロを終わらせる”という自分の目標が生まれた

少しずつ、本当に少しずつではあるが出逢いの中から言葉をもらい

今日まで歩いてきた

しかし自分の思う理想の日本とは、かけ離れた形にこの国は向かっている

本当の意味で戦争を終わりにしていないまま

また他の国と同じ様な道を進もうとしている

色々な形でそれは始まっていて

最近は多くの人から様々な問題を聞かされ

その中には諦めの声も多くあった

日本の問題も世界の問題もすべての事を考えると大変で

とても大きな、複雑な問題だということはわかる

この先の暗い未来も想像できてしまう

ただ自分は

それでも全くちがう未来を想像している人達を照らしたい

アーティスト達を照らし

原子力にかわるエネルギーを知っている人を照らす

全ての生命との関わりあい方を知っている人を照らし

悲しみを知っている人達を照らす

祈りの場や喜びの瞬間も灯し

怒りや憎しみを持ってしまった人達の前でも灯そう

そんな全てが世界から見たら一瞬で小さなものかもしれないが

限りあるものと

変化し続けるものであるために

灯し続けよう

2006,12,08 JUNE